株式会社 井グチ
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ウミガメエッセイ-3『ウミガメ前線』

 5月に入ると、全国各地からアカウミガメ産卵の第一報が届く。忙しい季節の始まりだ。だいたい、南のほうから産卵が始まり、1〜2週間で沖縄から関東にかけて、日本の産卵地すべてが産卵期に突入する。桜前線より北上は速い。

 カレンダーを持ってない生物が季節や時期を知るのは大変だ。その方法としては湿度や雨量、そして最も正確に季節を知る方法に昼夜の長さがある。桜は湿度で花を咲かせているものだから、たまに暖かい冬に狂い咲くこともある。ウグイスは夜明けの時間で、繁殖したくなりホーホケキョと鳴くようになる。そのため、ウグイスが里に出てくる季節は正確だ。

 では、ウミガメはどうであろう?毎年、産卵期になると、「今年は海水温が高いから産卵が早い」などと、珍説が新聞にのったりするが、実はあまりよくわかっていない。5月になると砂浜に姿を現すウミガメは、何によってお産の季節を知ったのだろうか?今頃南日本に集まってきているアカウミガメのことに想いを馳せるのは、確かに楽しく、初夏の匂いがする。

日本ウミガメ協議会会長
東京大学大学院客員助教授
亀崎 直樹



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