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ウミガメエッセイ-4『世界遺産と自然保護』

 吉野や熊野が世界遺産に登録されるた。私も少しだけ熊野古道を歩いたことがあるが、自然を神とみなし崇拝した風景があちこちに見られ、心が洗われるような気がするから不思議だ。昔の人は、道すがらその風景を眺め、心を癒したに違いない。

 人はこんなに自然が好きなのに、どうして、自然を壊してしまうのか?いつも私を悩ます命題である。全国の自然の中には、展望台だとか自然の中に人工構造物があることが多い。最近行った熊本のある砂浜では、人が遊びやすいようにと階段状の護岸が作られた。ところが、展望台が賑わっていることを見ることは少ないし、熊本の砂浜では護岸のないところで人は遊び、人の為に作られた護岸では誰も遊んでいなかった。

 正直言って、吉野や熊野の将来も心配である。自然遺産に選ばれた屋久島は経済効果は大きかったようだが、自然は確かに荒れ果て、太平洋最大のアカウミガメの産卵地もその影響を受けている。屋久島で見たウミガメは何十人もの人間に囲まれ、これが世界遺産の成果かと思うと、その意義に疑問を感じてしまう。世界遺産で地域の振興を考えることは悪いことではない。しかし、どのような地域振興を、どのように目指すのか?地域でそれをしっかり議論する必要がある。ここのところ、四国にウミガメ調査に出向くとき、国道を遠慮がちに歩くお遍路さんに申し訳なく思う。ここも昔は美しい道であったに違いない。

日本ウミガメ協議会会長
東京大学大学院客員助教授
亀崎 直樹



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